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『新世紀エヴァンゲリオン』は、トータルセールスは1500億円以上、初出後12年経っても人気が衰えない。それどころか、いまだに次々に新たなファンを生み出し続ける、まさにモンスター級の作品である!
――時に、1995年10月。テレビ東京系で全26話のテレビアニメ作品として『エヴァ』はスタートした。14歳の少年が巨大な人型兵器エヴァンゲリオンに乗り、襲いくる謎の敵と戦う……。物語は、このようにすでに認知されたロボットアニメ路線の体裁からスタートする。
だが、視聴者はすぐ異変に気づき、騒然とし始めた。『エヴァ』は圧倒的に画面から伝わってくる情報の量が多く、しかも高い質を誇っているのだ。見た目の事件とは別に裏で暗躍する者たちがいるなど、二重三重の仕掛けが入り組み、やがてEVA自身にも畏怖すべき真実が秘められていることが暗示される。この「圧倒的な情報量」と「謎が謎を生む構造」は、あらゆる予想を裏切り、やがて全体で《ミステリアスな世界観》を醸し出し始める。一度見たら、とらえて離さない「病みつきになる面白さ」を提供する観客参加型作品。それが『エヴァ』というアニメなのだ!
『エヴァ』の魅力は、物語や世界観だけではない。まず目を引くのはキャラクターやメカ。そして高度に磨きあげられたデザイン感覚。それが人気の原動力となっている。
主人公は14歳の少年、碇シンジ。他人との触れあいを極度に怖れる内向的な感性は、絶え間なく情報にさらされ、ストレスに耐える現代人を代表するものだ。一方、彼をとりまくヒロインたちは、実に魅力的。特に「白と赤」「静と動」と、「対」になったイメージをもつ綾波レイとアスカ――2人のヒロインは作品を支えるシンボルでもある。貞本義行(コミック版も担当)によるキャラクターデザインは、続くアニメ作品にも多大な影響を与えている。
エヴァンゲリオン(略称:EVA)は、銃やナイフなどオプション装備多数の人型兵器。初号機、零号機、弐号機……と、EVA自身にもバリエーションが用意されている。だが、「人造人間」という別名が示すように、その実態は決して機械的なものではない……。
『エヴァ』は娯楽作としての入り口は広く、奥の深い作品として広く知られている。アニメの枠を超え、アーティストや学者たちを巻きこみ、一大ムーブメントをおこした。サブカルチャー雑誌「Quick Japan」では連続特集が組まれ、「Studio Voice」では表紙を飾り、さらに関連単行本が多く出版されるなど、世の注目を一身に集めていった。巨大な市場性がビジネス誌でも取りあげられ、経済効果が注目されるほど、社会にも強い影響を与えている。
1996年3月、物語の枠組みを超えた驚くべき形で完結を迎えたTVシリーズ。1997年にはファンの声援に応えるかたちで、完結編が劇場版として製作された。特典付前売券は即時完売、徹夜行列ができる大人気で、かつての『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』に匹敵するお祭り的人気を獲得。第3次アニメブームの起爆剤になったと言われている。今日、製作委員会形式による深夜アニメが隆盛だが、そのルーツも『エヴァ』にある。
こうした凄まじい熱風の起点が、新しい形で再び立ち上がろうとしている。はたして、全世界注目の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』とは、どんな作品になろうとしているのか……!? |
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